ほぼ丸二日、のべ三日をかけて一気読み。まずは表紙を並べてみよう。
- (1) 新艦長着任! (SF1258, SF1259)
- (2) グレイソン攻防戦 (SF1294, SF1295)
- (3) 巡洋戦艦“ナイキ”出撃! (SF1314, SF1315)
- (4) 復讐の女艦長 (SF1362, SF1363)
- (5) 航宙軍提督ハリントン (SF1410, SF1411)
- (6) サイレジア偽装作戦 (SF1447, SF1448)
- (7) 囚われの女提督 (SF1586, SF1587)
- (8) 女提督の凱旋 (SF1642, SF1643)
さすがに 16 冊ともなると壮観だ。
雑感
1作目(の翻訳)が出版されたのが 1999-01。もう、10年以上前のこと。最新の 8 作目の出版は 2007-11。そこからでも丸 2 年だ。さすがに完結しているだろうと一気読みを企てたのだが……していなかったよ orz
本シリーズの内容については、第1作の解説から引用させてもらおう。
(新艦長着任!〈下〉; 解説より; p.330)
新たな任務(艦)への着任。乗組員たちとの対立と和解。困難な任務。足を引っ張る権力者たち。強大な的との戦闘……。
〈ホーンブロワー〉や〈ボライソー〉といった帆船小説のファンならすぐ気づくと思うが、これらはまさに十八世紀から十九世紀後半の英仏戦争を背景とした帆船小説の、本的なフォーマットそのものなのである。
帆船小説(このジャンルは読んだことない)をベースにしたスペースオペラであり、軍人の成長(出世)を描くミリタリイSFであり、主人公を取り巻く政治状況を描写する(架空の)歴史小説でもある。
一気読みした上での第一の感想は、もうこのシリーズは読まなくて良いか、というもの。おもしろいけれど、後の巻になるにつれ分厚くなるし、その分物語の展開はゆっくりとしてものになるし、読むためにかける時間に見当った爽快感を引き出せなくなっている。
スペースオペラというジャンルは「爽快感」が何より大事。SFテイストというか、ガジェットは、物語の「つま」にすぎず、「それらしさ」を演出するための道具。物語の骨格としては、むしろファンタジーに近い。さらに本作は架空戦記でもあり歴史小説(たとえば三国志のようなもの)っぽい一面も持つ。そこに何を求めるかと言えば、ヒーローが登場して、苦心惨憺しつつも、最後には悪を倒す。いわゆる勧善懲悪の構図であり、何よりもヒーローのカッコ良さだ。さらには、ヒーローが苦心惨憺する中に、彼または彼女の成長の描写が盛り込まれていれば言うことなし。
そういう意味では全作、合格点なのだけど、主人公がほぼ出世しつくしてしまった時点で、外面的なわかりやすい成長の描写の余地がなくなる。内面的な成長は描けるだろうが、爽快さからは遠ざかっていく。
人気が出れば続けたくなるのが人情。作者としても書きたいことを、異なる世界(歴史)設定、別のヒーローで描くよりは、読者に馴染みのある主人公を使い回す方が描きやすいだろう。コンテンツを新しくするごとに、フレームも新調するのは大変だろうし、読む方だってついていくのが一苦労だ。でも、本作はちょっと長く続けすぎなんだと思う。
1作目の「新艦長着任!」と2作目の「グレイソン攻防戦」、加えて3作目の「巡洋戦艦"ナイキ"出撃!」あたりで完結させておくべきだったかもね。「反逆者の月」シリーズぐらいの長さがちょうど良い。
関連作品
現時点(2009-12-15)で、ハヤカワ文庫から出ている同じ著者による作品を以下に挙げる。他の出版社(たとえば創元推理文庫とか)からは出ていないと思う。
反逆者の月
3部作、全4巻。内容は超超コンパクト版「ペリー・ローダン」って感じ。 とくに第1作は、あちこちでペリー・ローダンのこと(最初の10巻分ぐらいかなあ)を思い出させる内容だった。
セーフホールド戦記
今月(2009-12)中に、全3巻のうち第2巻目が発売になる。
(もう出たかな?)
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