Blogger の提供するスタイルにあれこれ変更を加え始めたのは何より iPhone (と iPad) で見やすくしたかったからだ。それが高じてブログの記事を表示する GAE アプリを作るまでに至った。ある程度の実用性を備えた今こそ、iOS デバイスの対応を始めるときだ。
iOS デバイスへの対応と言っても、これまでのように単にスタイルを最適化する程度で終わりたくない。ブログコンテンツを表示するためのアプリと呼べるものに仕上げたいのだ。最終的には Blogger Glass を iOS デバイス用のウェブアプリと呼ぶにふさわしいモノにするつもり。何をどこまで作り込めばそう呼べるかはまだわからない。そもそも BG 自体まだ機能的に不足しているし、実装ずみの機能も洗練されているとは言えないしな。課題は(見えないものもふくめて)多いが、まずは一歩を踏み出そう。そうすれば次に進むべき方向も見えてくるから。
今回は基礎編。まずは以前の成果(スタイル定義)を流用して、現在、Blogger (の LOG+REPO) を iOS デバイスで開いたときと同等の外観を実現する。それには主に以下の 2 つの作業が必要だ。
- Viewport の設定
- デバイスごとの CSS ファイルの用意
それでは順番に見ていこう。
viewport の設定
(「iPhoneアプリケーション開発ガイド―HTML+CSS+JavaScript による開発手法」p.17)
特に指定がない場合、iPhone 版の Safari ではページの横幅が 980 ピクセルであるとみなされます(図2-3)。多くの場合はこの設定でも問題はありませんが、iPhone の小さな画面に特化したコンテンツを作成するためには横幅を明示する必要があります。
さて、この横幅の指定は meta
タグによって「viewport」を設定することで行う。viewport の設定(の meta
タグ)は(iOS デバイスの Safari)以外のブラウザでは無視されるということだ(→「iPhoneアプリケーション開発ガイド」p.18)が、そこはウェブアプリなのだからリクエストデバイスに応じて追加するようにしたい。
それが以下の部分だ。app
オブジェクトの is_ios_device
属性が True
のときだけ viewport 設定のmeta
タグを追加している。
(src/base.html より) <title>{{ app.title }}</title> {% if app.is_ios_device %} <meta name="viewport" content="width=device-width, user-scalable=no, initial-scale=1, maximum-scale=1"> {% endif %} <link type='text/css' rel='stylesheet' href="{{ app.stylesheet }}">
app
オブジェクトは、各リクエストハンドラからわたってくる info.AppInfo
クラスのインスタンスだ。このオブジェクトに情報を詰めているのが、util.fill_appinfo
関数で、リクエストデバイスの識別を行う util.get_device
関数を利用してデバイスごとの情報を生成している。それにはデバイス専用の CSS ファイルもふくまれている。
(src/util.py より) def fill_appinfo(appinfo, request_url, user_agent): [...snip...] device = get_device(user_agent) if device == 'iphone': appinfo.is_ios_device = True appinfo.stylesheet = '/stylesheets/iphone.css' elif device == 'ipad': appinfo.is_ios_device = True appinfo.stylesheet = '/stylesheets/ipad.css' else: appinfo.is_ios_device = False appinfo.stylesheet = settings.get('stylesheet')
デバイスの識別はユーザエージェント文字列中のデバイス名によるもので、3 つのタイプを返す(iphone、ipad、そして mac)。iOS デバイス以外は mac 扱いにしている。
(src/util.py より) def get_device(user_agent): if user_agent.find('iPad') > -1: device = 'ipad' elif user_agent.find('iPhone') > -1 or user_agent.find('iPod') > -1: device = 'iphone' else: device = 'mac' return device
- src/base.py
- src/info.py
- src/main.py
- src/postview.py
- src/searchview.py
- src/settingsview.py
- src/util.py
デバイスごとの CSS ファイルの用意
デフォルトスタイルの時と同様に、Style Repository で LOG+REPO 用に提供している各デバイス用のスタイルをほぼそのまま流用した。
iPhone 用では実験的に少し色を変更してあるが、これはすぐに変更することになる(後述)。
Blogger Glass が生成する HTML は HTML5 に準拠することを目指している。header
や section
、そして footer
のような区画分けのための要素を使っているのも、そのためだ。今回、iPad 用のスタイルを用意していて、現在の iPad 上の Safari (OS: 3.2.2 (7B500)) ではこれら区画分けの要素に単独で指定したスタイルが効かないことがわかった。具体的には以下のような定義が無効になる。
(区画分け要素のスタイル) header { background-color: #eeffcc; }
同じ定義が iPhone および iPod touch (どちらも OS 4.1 (8B117)) では有効になる。iPad の OS がアップデートされれば解決されるだろう。
ま、わたし自身が十分に HTML5 のスペックを読み込んでいないため、BG の HTML5 準拠も手探りだからな。BG が生成する HTML の構造もまだまだ変わる。スタイルもそれに合わせて変えなくてはならない。今のスタイルも暫定版でしかない。
もっと iPhone らしく
さて、以上が iOS デバイス対応の基礎編だ。ここから先は、デバイス対応というよりも、むしろ BG の iOS デバイス専用ウェブアプリ化になる。その手始めとして、今、実験中のスタイル定義によるスクショを示す。iPod touch による表示だ。
これは「iPhoneアプリケーション開発ガイド」の p.19 〜 23 の書かれている手法を適用したものだ。少しリストと見出しのスタイルをいじるだけで、ずいぶん iPhone アプリらしくなる。
ゴールを、iPhone でも使えるモノから iPhone で専ら使うモノに変えると、機能のデザインも(とくにユーザ体験に関して)いろいろと変わってくる。たとえば、ラベル検索による絞り込みも、Mac (上の Safari)で使うことが前提なら、詳細検索画面を作って複数のラベルを指定させて、なんていう拡張を考える。けれど iPhone に特化するなら、まずラベルを 1 つ選択して検索し、その結果表示画面でさらにもう 1 つラベルを選択して(2 つのラベルによる複合検索で)絞り込む、というような使い方を考える。
iPhone では一度に表示できる情報が限られているし、モバイル機器であるためユーザとの対話は短いほど望ましい(ユーザは椅子に座ってじっくりと iPhone の画面を眺めているとは限らない)。そういった機器の特性はユーザ体験のデザインに大きく影響する。ウェブアプリとして実現されていたとしても、iPhone 用を標榜するなら、iPhone アプリらしくあらねばならない。単にスタイルを変えるだけで済む問題ではないってことだ。
参考文献
関連リンク
- Blogger Glass (GAE アプリ)
- Style Repository (GAE アプリ)
- 4.4 Sections - HTML5 (W3C)
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